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世の中の最前線で 謙虚さ忘れず 写真部 大西 岳彦(おおにし・たけひこ) 02年入社

 新聞社のカメラマンは、新聞に掲載されている写真を撮影することが仕事です。人によって専門分野があるわけではなく、すべてのジャンルが対象になります。その中でも災害取材は重要な一つです。


 「津波で父ちゃんも母ちゃんも家も流された」。東日本大震災の取材で訪れた岩手県陸前高田市。「震災孤児」となった小学生の兄弟に出会いました。避難所での姿を撮影し、記事にもしました。その後も取材を続け更地になった自宅跡、仮設住宅での暮らし、夏祭り......、ありのままを撮ることを心がけました。読者から手紙をいただいたり、義援金や物資を送りたいとの声も届きました。


 写真を通じてメッセージを伝える――報道カメラマンにとって、仕事の大前提です。ただ、「孤児」である兄弟を利用していないか、記事にすることは彼らにとって本当によいことなのか――現在進行形の悩みです。


 また、普段の仕事としてスケッチと呼ばれる季節の移り変わりや花を撮影する機会も多いです。その際に新聞写真の特徴として、必ず人を配します。居合わせた人に声を掛けるのですが、当然モデルの経験をした人などほぼいません。そこで、趣旨を説明して動いてもらうことがあります。いかに短時間で信頼を得て、意図する写真を撮るか――撮影技術も必要ですが、コミュニケーション能力も高く求められます。


 すべてのジャンルが撮影対象なだけに、毎日異なる場所に行けることが新聞カメラマンのだいご味です。事件・事故の現場、野球やサッカーなどのプロスポーツ、ヘリコプターや飛行機からの空撮、政治や選挙に関する動き......。目まぐるしく変化する世の中の最前線で、カメラを構えられます。


 被写体があってこその写真。時には強引さも必要ですが、撮らせてもらっているという謙虚さを忘れない。誰もがカメラを持っている時代だからこそ、職業カメラマンの自負を持つ。これらの意識があれば、写真は人の心を動かすことができます。信念を持ち、おごらず「人」に近いカメラマンでいたいです。

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