採用情報
JR福知山線脱線事故の遺族や負傷者の取材を続けていた阪神支局での3年間、自分の取材が被害者の方の傷口を広げているのではないかという悶々とした気持ちが常にありました。取材することが事故を思い出させるからです。実際、「思い出したくない」と何度も何度も取材を断られ、人の痛みや悲しみを聴くことの難しさを痛感しました。
それでも、息子を亡くしたある女性から「聴いてもらって良かった。記事にしてもらってちょっと前向きになった」と思いがけない言葉をもらった時は、「聴くことを諦めないでよかった」と思えました。
広島での被ばく体験を語らずに亡くなった父の足跡をたどる男性の思いを紹介した時は、記事を読んだ大学生から「祖父に戦争体験を聴いてみました」という手紙が届きました。記事をきっかけに行動を起こしてくれたことをうれしく思いつつ、自分の書いた記事に責任を持とうと改めて気を引き締めました。
取材相手からかけられた言葉、記事を読んだ読者からのささやかな反響が記者を続ける原動力になっています。
取材で多くの人との出会い、一緒に泣いたり笑ったり、怒ったりおもしろがったりしてきました。そうして心動かされ、「伝えたい」と思ったことを記事にしてきたつもりです。その記事が、わずかでも社会や誰かをプラス方向に動かすことにつながったら、記事を読んだ人と感動を共有できたら、それが最高のやりがいです。
11年春から司法記者クラブに所属しています。経済事件や大型脱税などを捜査する東京地検特捜部などが取材対象です。慣れない事件取材にとまどうことばかりです。
ただ、検察関係者の動向を追いかけ回す中で、一見、威風堂々近寄りがたいといように見える検察組織も、十分に人間くさいということが分かってきました。疑惑や事件を追及する側もされる側も同じ時代を生きている人間です。
これからも一つ一つの出会いに感謝しながら、「伝えたい」と感じることを探し続けようと思います。













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