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選手の素顔伝えたい 葛藤する毎日 運動部 中村有花(なかむら・ゆうか) 04年入社

 ピッチを離れようとしない3人の「なでしこ」に、目を奪われました。9月の女子サッカーロンドン五輪アジア最終予選。勝てば五輪出場が決まる北朝鮮戦で、ロスタイムに失点につながるミスをした日本代表の近賀ゆかり選手が試合後、膝を抱えて座り込み、目を真っ赤にしていました。その近賀選手を身振り手振りで笑わせようとする宮間あや選手と横で笑う岩清水梓選手。15分以上も3人だけで、そんなことを繰り返していました。


 後に宮間選手に話の内容を聞くと「内緒ですよ~」とはぐらかされ、岩清水選手は「ああやって慰めてくれるから助かります」と笑っていました。近賀選手のことが気になって会見そっちのけで一足早くピッチに下り、偶然目にしたやりとりで、宮間選手の仲間への気遣いがチームを支えていることを実感できました。


 一流選手のプレーを間近で見られることが、スポーツ取材の魅力の一つ。歴史的瞬間に立ち会うこともあります。でも、仕事の大部分は普段の選手のひととなりを知り、選手を支える人たちの言葉を聞くことが占めます。


 運動部に配属になって3年間、主にサッカーを担当していますが、夏と春には高校野球、時には剣道にも取材に行きます。サッカーひとつとっても、Jリーグや日本代表だけでなく女子や年代別代表など......さまざま。幼なじみが中学時代に一度は断念しながらサッカーを続けていたことがきっかけで、女子サッカーの環境には興味があり、合間をみては女子の指導者に話を聞いたり、チームに取材に行ったりしていたことが、この夏、なでしこのW杯優勝を機に生きました。スポーツ紙に比べカバーする範囲が広い分、興味を持てば、いくらでも自分のフィールドは広がっていきます。


 とはいえ、記者8年目を迎えた今でも、何度も原稿を書き直します。「このおもしろさ、この選手の苦悩を、どうすればうまく伝えられるのか。興味を持ってもらえるのか」と考えれば考えるほど葛藤は深まるばかり。時には自分の中で整理がつかずデスクに申し訳ないなと思いながらも、今日もまた原稿を出しています。

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