認知症110番

デイサービスに行きたがらない母

 82歳の母と二人(次男58歳)暮らしです。母は2年前に父が他界してから急に物忘れが顕著になりました。長男家族は車で30分の所に住んでいますが、妻も働いているため協力は難しい状態です。母は働き者で動いていることが好きです。現在は週5回デイサービスを利用していますが、最近は「行きたくない」と迎えが来ても行かないことが多くなってきたので、デイの日は行くことを見届けてから出勤しています。このままの状態が続くのではないかと不安になっています。(静岡県、次男、58歳)

【回答】役立ち感 得られる役割を

 毎朝、今日はデイサービスに行ってくれるだろうかと、お母様の顔色を見ながらお世話をしているのでしょうね。あなたと一緒にいるときは機嫌よく過ごされていても、デイのお迎えが来ると一瞬に顔色が変わってくるのを目の当たりにすると、あなたの気持ちも「このまま行かせてよいのだろうか」と気持ちが揺らぐと思います。嫌なところへ行かせてしまう後味の悪さをかかえながら出勤することの辛さ、1日だけであればなんとかしのげますが、行きたくない日が続いてくると気が重くなってしまい負担になりますよね。

 デイサービスではどのように過ごしておられるのでしょうか。連絡ノートなどである程度把握していると思いますが、働き者のお母様が自分の力が出せるようなメニューがあるのでしょうか。そのあたりを少しデイサービスの職員やケアマネジャーに聞いてみましょう。働き者であるお母様の特徴をデイサービスで生かせるようにするのも一つの方法です。デイサービスの職員に、お母様の特徴を理解してもらい、目的のある行動を見つけ出し、できるところ、できないところの機能的なところと、やりたい、やりたくないという心理的なところを理解し活用していただく。そのためには、自分の意思がうまく言葉では伝えられないことを想定し、息子のあなたが、お母様がこれまで得意としてきたこと、例えば、ガーデニングや掃除、草花の手入れや片づけの仕方など具体的に、これまでやってきたこと、現在できることなどを詳細に言葉か記録にして伝えましょう。

 デイサービスでは利用前にいろいろ特徴を理解していると思いますが、行きたくない現在、再度見直しの機会にし、あなたもお母様がデイサービスで行ってきたことを話題にし、褒めるなどして連携を図りながらデイサービスに行くことが生活の一部になり、生きがいにつながるように働きかけてみてはいかがでしょうか。仕事で忙しいでしょうが、お母様に向き合う時間を創ることで、見えてくることがあると思います。家でも花の水やりや食後の後片付けなどしてもらい、まだまだ役に立っていることを実感できるようにすると気持ちが豊かになると思います。あなたがやった方が効率は良いと思いますが、お母様の力を活用しましょう。デイサービスは認知症専門のデイサービスもありますので見学などするのも良いと思います。

回答者 是枝祥子(これえださちこ)
大妻女子大名誉教授=介護福祉学