認知症110番

ネットで注文重ねる父

 78歳の父と同居しています。長女の私(45歳)は就労のため日中は独居です。父は以前から無口で自分のことは自分でしていましたが、最近、ネットでの注文が重なったり、注文したことを忘れたり、宅配サービスでも同様なことが多々あります。また、それを使いきれず残してしまいます。忘れることが多くなっています。アドバイスをするのですが「うるさい」というばかりです。外に出ることは嫌いで家の中でテレビを見て過ごし、他の人と触れ合う機会もないままです。(東京都、女性、45歳)

【回答】チェックリストを活用して

 一見すると、お父様は自分のことは自分でやり、面倒な買い物もネットや宅配を利用し自立した生活をしていると思うでしょうね。実際は、注文が重なったり、必要と思い購入したものも使いきれず、無駄にしてしまうことが多くなり、見るに見かねて、注文の仕方等をアドバイスすると、余計なお世話だといらだってしまうのですね。

 あなたから見ると、注文方法を少し工夫すれば間違わないのにと思われるでしょう。しかし、お父様はこれまでの通り行っているつもりでも、注文したかどうか確かめるためにもう一度見直しをしようと確認すると、誤って打ち込んでしまうのではと思われます。私もお父様同様な経験があります。自分では確認のつもりでしたことが再度打ち込んでしまうのでしょうね。そうはいっても困ることですから、お父様を傷つけない方法でわかっていただきたいですね。ネットで注文できる力があることは頼もしいことです。できれば、「家にあるものリスト」と「注文リスト」がパソコンのそばで見える位置に貼っておき、お父様が自分で管理できる表などを作成しチェックしていく方法はいかがでしょうか。そして、あなたも少し注文して一緒に見ることができると、お父様の状況もわかるのではないでしょうか。チェックリストを作るときは、お父様がわかりやすいように話し合いで作ると、どの部分がわかりにくくなっているのかも把握できると思います。できるところは任せて、ときにはできたことを褒めたり、教えてもらうことも大切です。やる気を損なわないように温かくフォローしましょう。

 他の人との触れ合いが少ないということですが、パソコンができるということから、地域の高齢者仲間の同好会などがありますので、探すもの良いかと思います。初級から上級までいろいろあると思いますが、活動内容など確認し、お父様をお連れして合いそうな同好会を選ぶのも一つの方法だと思います。

 一方では、日々の生活を見守りながら、少しの変化を察知し、機会を作って認知症外来などの受診も勧めます。早期に気づくことで、進行せずにお父様らしい生活が継続できると思います。今ある能力を十分活用できる期間を長く保てるように工夫しましょう。そして、何よりもあなたが負担にならないことが大切です。

回答者 是枝祥子(これえださちこ)
大妻女子大名誉教授=介護福祉学