認知症110番

義母が冷蔵庫の電源抜きイライラ

 83歳の義母と同居(次男夫婦)しています。私たち夫婦は仕事を持っており、日中、義母は独りです。数年前から忘れることが多くなってきましたが、デイサービスを利用し何とか生活はできています。今困っているのは、コンセントを抜いたり、電気を頻繁につけたり消したり、エアコンの理解ができなかったりすることです。冷蔵庫やレンジ、テレビのコンセントを抜き、冷凍庫の食品が溶けてしまいました。朝出かけるときに抜かないように言って出るのですが理解できず、イライラの連続です。(次男の妻、55歳)

【回答】毎日の役割探し感謝伝えて

 夕飯の献立を考えながら帰宅すると、電気がついていない、エアコンが作動していない、冷凍庫の食品が溶け出しているという状態が続いていると、いくら状況を察知し予測していても、あなたの気持ちは穏やかではないと思います。イライラするのは当然ですよね。朝出がけに念を押したときは「はい」と分かったような返事があり、今日は大丈夫だろうかと思いながら帰宅すると、またいつもの状況が目の前に繰り広げられています。どのコンセントを抜いてしまったのか、確認しなければならない状況なのに、夕飯の準備もあり時間が過ぎていく。義母様は何が起こったのかと戸惑った様子で見ている状況でしょう。

 義母様は、かつて元気な頃に家事をしている気持ちで、電気器具のコンセントは必要な時に差し込んで使用するものと思い込んでいるのではないでしょうか。こまめにすることで節約になるという意識がどこかにあるのかもしれませんね。電気器具などは時代と共に進化していますが、高齢者にとっては理解しにくい分野でもあります。決して困らせようと思っているのではなく、あなたたちの負担を少しでも減らそうと思っての行為だと思います。役に立とうとしているのです。

 現実は逆に困らされているわけですが、気持ちには感謝しつつ「コンセントは抜かないでね」「電気器具が変わったのでさわらないで」と義母様が納得できるように具体的に話すとよいと思います。説明するのではなく、どうすればいいかが分かるように短く話すといいと思います。それも繰り返し言いましょう。話しても同様の行為が続くようであれば、コンセントの場所に「抜かないで」と紙に書いて貼っておくのもいいと思います。

 義母様は家族の役に立ちたいと思っているのでしょうから、日々の生活の中でできること、例えば新聞をポストから持ってくる、仏様の水を換える、トイレのタオルの取り換え、風呂掃除など、毎日やれることを探してやってもらい、家族の一員としての役割を果たせるようにすることで気持ちが落ち着くと思います。どんなに簡単なことでも行った後には感謝の気持ちを表してください。「ありがとう」の言葉は何よりも安心でき意欲が湧く言葉です。

回答者 是枝祥子(これえださちこ)
大妻女子大名誉教授=介護福祉学