認知症110番

義母の介護で倒れそう

 85歳の義母(要介護3)は長男(1年前に他界)の妻の私と2人暮らしです。義母は10年前に認知症と診断されました。歩行はできますが、最近は外出先から帰ることができなかったり、排泄の失敗が多かったりでかなり介護の手間が必要です。現在は介護休業制度を利用しています。夫が健在だった時は協力を得ていましたが、今は仕事との両立が難しく悩んでいます。義姉と義弟は介護が無理な状況です。施設への入所を相談したら、義姉弟や親戚たちから「かわいそう」と言われ、躊躇していますが倒れそうです。(長男の妻、57歳)

【回答】あなたの暮らしを優先して

 長年義母様の介護をされ、お疲れさまです。誰にでもできることではありません。認知症を受け入れ、日々暮らしを共にすることはかなりのご苦労があったと思います。ご主人が健在の頃は2人で介護され、会話もあって支え合うことができていたのでしょうね。その後はあなたが孤軍奮闘され、仕事を休まれて介護されておられるのですね。介護休業制度を活用したのは良かったです。でも限界が見えてきたのですね。

 義母様は徐々に認知症が進み、現在は帰宅できなくなったり、排泄の失敗だったりで目が離せず、常時介護が必要な状態なのでしょう。介護サービスを利用していても、それは一時で休まる暇がありませんね。義母様を介護したい思いがあっても、気持ちだけでは無理な状況だと思います。義母様は歩けるだけに、周りから見るとそれほど介護が大変そうには見えないのかも知れません。車いすを使っていたり、ベッドで寝たきりだったりすると外からでも介護の必要性がよく見えますが、認知症の介護はそうとは限りません。それでも常に安全な状態をつくり、何をしようとしているのか気持ちを察しながらの対応が必要で、常時目を離せない状況です。特に排泄のお世話はプライドを傷つけないように配慮するなど心も体も駆使します。これが毎日続くのですから心身共に疲労困憊ですよね。

 義母様の子どもたちは介護ができない状態で、在宅サービスについてはケアマネジャーとも相談していろいろ工夫されてきた上で限界を感じておられるのですから、これ以上無理をするとあなただけでなく義母様も共倒れになってしまう恐れがあります。その前に施設を選択することが双方にとって最善だと思います。誰もが自分らしく生きていくことが前提です。誰かの犠牲になる生活は後悔が残ります。周りの方々はいろいろ言うでしょうが、義母様の生活を直接支えてきたのはあなたです。

 迷うのは当然ですし、周りの気持ちを考え、悩み、複雑な心境だと思います。でも、親族に施設入所を相談したのはいろいろ考えて、考えてのことであり、長年介護してきた結果を踏まえた判断でしょう。あなた自身が仕事に復帰し、いきいきと暮らすことを優先しましょう。そして長年介護をしてきた自分を労ってくださいね。

回答者 是枝祥子(これえださちこ)
大妻女子大名誉教授=介護福祉学