読んでみた

認知症がとまった!? ボケてたまるか 実体験ルポ

山本朋史著/1200円+税/朝日新聞出版(03・5540・7793)

 もの忘れ外来で認知症予備軍の軽度認知障害(MCI)と診断された62歳、週刊誌記者が仕事を続けながら早期治療に努め、効果が出て喜んだかと思えば失敗に落ち込むという一喜一憂の体験ルポ。

 自称“お調子者”の筆者は、認知力アップトレーニングに励んだり音楽療法用に古楽器まで購入。さらにMCIに効果があると言われるシロスタゾールの治験を大阪まで取材に行き、その場で自身の治験参加も申し出るなど意欲的。その一方で海外メディアからの取材や講演会への参加、はては高齢者運転実験まで次々応じていく。「ぼくが発言することでMCIに対する認識が広まり、認知症についての偏見も少なくなるのではないか」というのが理由だ。

 身につまされるエピソードも多いが、最初はドギマギした講演に慣れていく様子は努力の賜物だろうし、体験したことがリアルに紹介されていることに感心。MCIのイメージが変わる。