読んでみた

認知症の人とのおつきあい--家族の心をととのえる対応と工夫

認知症の人と家族の会東京都支部編/1500円+税/三一書房(03・6268・9714)

 認知症の人と家族の会の東京都支部は1982年に「認知症てれほん相談」を開設した認知症電話相談の老舗だ。孤立していた認知症の本人や家族の悩みを受け止め、社会の変化に伴う多様な相談に対応してきた。その中で変わらないものがあるという。介護保険がスタートし介護者の負担は軽減しても、精神的な負担はなお大きく、認知症という事実を受け入れられない人も多い。本書は膨大な相談事例の中から、「同じことを何度も聞く」「食べていないと言う」「家に帰りたいと言う」など代表的な相談に、それぞれ複数の対応を例示し読者の助けとなるよう工夫している。

 またストレス対処法などカウンセラーのアドバイスとコラムも充実し、全部読み通してもいいし、百科事典のように利用することも可能だ。