読んでみた

認知症のパーソンセンタードケア−−新しいケアの文化へ

トム・キットウッド著、高橋誠一訳/本体2600円+税/クリエイツかもがわ(075・661・5741)

 認知症の人の人柄、人生、心理状態を尊重し、「その人らしさ」に寄り添うケアの「パーソンセンタードケア」を提唱した故トム・キットウッドの名著を訳の見直しや加筆、修正を加え復刊した。

 認知症の人を理解するとき、医療モデルで見ると、どうしても「認知症」のことしか見ていないことになりがちだが、認知症の人の立場に立てば「その人らしさ」が浮かび上がる。この立ち位置を徹底的に再検討し、認知症の人を全人的に見ることで、理論的にも実践的にも質の高いケアが可能と説く。

 そして良いケアが施されれば、一定の認知症の回復も可能だと示唆する。日本のケアの現状がどこまで向上したかが問われている。