読んでみた

認知症ケアのための家族支援--臨床心理士の役割と多職種連携

小梅宏之・若松直樹編著/本体1800円+税/クリエイツかもがわ(075・661・5741)

 認知症の人のいる暮らしとはどのようなものか。夫婦や親子、兄弟姉妹、義理の誰か、あるいは一人住まい……様々な人間関係が浮かぶ。一口に家族を支えると言っても、多くの価値観や関係性を重視するまなざしが求められると編著者は説く。家族支援がとくに難しいのは専門スタッフが多職種にわたることだ。医師、看護師、介護福祉士、社会福祉士、介護支援相談員、理学療法士、作業療法士、心理士。どの職種の人も自らの視座を中心に支援を考えやすいため、職種間の温度差を乗り越え、自らの立場を客観視しながら具体的な支援策を見出していくことが求められる。本書ではその数々の具体例を専門職が報告している。

 臨床心理士の自主シンポジウムから生まれた企画で、家族はもちろん各専門職の人にも役立つ内容だ。