読んでみた

鍵をかけないケア〜グループホームさわやかテラスの取り組み

山城裕美著/本体1380円+税/図書出版木星舎(092・833・7140)

 鍵をかけないケアをやり抜くには、スタッフが入居者の後を何キロもついていく覚悟と献身が必要だ。グループホームを開設して16年。福岡県内に7カ所のホームや小規模多機能型居宅介護施設を展開する事業所の汗と涙と笑いの実践報告である。「あるがままに 楽しく ゆったりと」を家訓にした介護する側の懸命のお世話は、ただ介護される側を助けるだけでなく、逆にさまざまなことをお年寄りから教わる「共助」の関係だったと知る。「3K」とネガティブに思われていた介護が人間の尊厳に触れる大事な仕事であり、成長するまたとない機会であることを本書は教えてくれる。そしてケアの専門性を培ってきたプロセスをも具体的に紹介してくれる。主治医を見つけ、地域とつながり、入居者の半生に触れることも重要だ。