読んでみた

老人の取扱説明書

平松類著/本体800円+税/SBクリエイティブ(03・5549・1201)

 赤信号でも平気で横断歩道を渡る高齢者を見かける。「どうせ車は止まってくれると本人が思っている?」「認知症になって危険だと理解できない?」。中にはそういう人もいるかもしれないが、大半が、まぶたが下がり、前かがみで足元を見て歩いているので信号機が見えない。この体の変化を眼科医の著者は「老化の正体」と呼び、本人や周囲の人がどのように対応したらいいかを示す。シルバーカーを使い歩行速度を速める、目の運動をする、下を向いて歩く高齢者に注意する、と具体的だ。

 高齢者は最近の記憶が苦手だ。それでも体を動かしたり、決まった時間にやったこと、あるいは役に立っていると実感できることは認知機能の改善に効果があるとされている。著者の解決策は「植物への水やり」。読んでも分かりにくい説明書が多い中で光っている。