読んでみた

新しい回想レクリエーション「人生紙芝居」

奥田真美著/本体1500円+税/講談社(03・5395・4415)

 紙芝居を活用した回想法といっても、出し物はお年寄りには懐かしい「黄金バット」ではない。介護福祉士の著者がデイサービスの利用者やその家族から、その人の人生を聴き取り10コマほどの絵にしたものだ。戦争と平和、仕事、家族などテーマを絞ることで、見る人の共感を得やすくなる。

 この試みが優れているのは、聴き取りや色塗りの場面でお年寄りが昔を回想するだけでなく、認知症の人も含めた要介護者の自己肯定感が高まり、迷惑行為が改善されるなどケアの効果が見られることだ。また高齢者と介護職員の世代間ギャップが埋められるほか、地元の小学校にお年寄と一緒に出向いて上演することで、子供たちが地域や日本の歴史を学ぶことにもつながっている。ケアされる高齢者による「社会貢献」は、微力ながら着実に日本を豊かにしている。

 紙芝居の作り方の説明も詳しく、実用的だ。