読んでみた

家で生まれて家で死ぬ

矢島床子、新田國夫、佐藤有里、三砂ちづる著/本体1200円+税/ミツイパブリッシング(050・3566・8445)

 この30年で約5200人の赤ちゃんを取り上げた「助産婦」の矢島さんと、在宅での看取(みと)りを推奨してきた新田医師ら4人によるシンポジウムの記録を加筆修正したもの。

 矢島さんが仕事場とする東京・多摩地区は、彼女らの奮闘で、自然なお産を介助する助産師の選択肢が日本で一番多い地区という。その体験から会得した自然なお産のメリットは、妊婦が「自分で産めた、気持ちよかった」と実感できるだけでなく、子育ての自信にもつながることを挙げる。助産院に置かれた「お産の感想ノート」には立ち会った夫の「今まで一緒にいたなかで、一番美しい」と妻の姿に感動する感想も寄せられている。

 病院医療に疑問を感じていた新田さんは、1990年に在宅医療の道を選択する。家で看取り、その姿を家族に見せることで、生の大切さを次の世代に伝えることが出来るのではないかと考えたからだ。

 家で生まれ、家で死ぬ。そこには感動がある。そんなことを考えさせてくれる一冊。