読んでみた

孤独のすすめ 人生後半の生き方

五木寛之著/本体740円+税/中公新書ラクレ(03・5299・1730)

 高齢者になると転びやすくなり、嚥下能力や呼吸にも支障が出て来るかもしれない。また孤独を意識することも多くなるだろう。しかし、どんなに体が衰えても回想する力は残っている。いや、孤独であればあるほど想像の世界は広がり自由になる。回想を人生後半期の友としてはどうかと筆者は説く。

 その一方で人口構成で多数派になりつつある高齢者世代への若い世代からの「嫌老」感に鈍感であってはいけないと言う。余裕があれば年金を辞退したり、使いやすい画期的な補聴器の開発など新たな「高齢者産業」の育成に協力し積極的に発言することも提案する。それが回りまわって社会貢献になるとシルバー世代に語りかける。

 いずれにしても、高齢者世代と若い世代の相互理解が欠かせない。そうであるなら、まずは高齢者世代から歩み寄ってはと著者は言いたげだ。