読んでみた

がんばりすぎずに しれっと認知症介護

工藤広伸著/本体1300円+税/新日本出版社(03・3423・8402)

 がんばりすぎずに しれっと認知症介護/工藤広伸著/本体1300円+税/新日本出版社(03・3423・8402)

 著者は40歳の時、祖母と母の介護のため会社を辞め、母の住む岩手と東京を年間約20往復しながら遠距離介護を「しれっと」続けている。その介護体験をまとめたものだ。体験から導き出された認知症介護の極意は、示唆に富み、参考になる。

 二つの心構えが必要と説く。一つは、介護者は無理をしないで楽をしよう。二つ目は、人の心を変えるのは難しい、でも自分の心を変えるのは簡単。つまり、認知症の人に何回も伝えたのに理解しないとつい相手を責めてしまうが「認知症という病気がそうさせている」と自分の心を変える努力をすれば済む。

 介護の悩みを書き出すと①介護者としての成長がわかる②悩みがクリアになる③誰かに伝えることで共感しあえる―など効用が多いとの指摘もうなづける。介護者の手元に置いておきたい一冊だ。