読んでみた

この先をどう生きるか 暴走老人から幸福老人へ

藤原智美著/本体1200円+税/文芸春秋

 今の世、老後も幸せに暮らすにはどうすればいいのか。12年前『暴走老人!』で流行語を産み出した芥川賞作家が、自身を含む高齢者の生き方を考える本。

 前著では老人が暴走する理由として①デジタル化についていけない②マニュアル化が進み人間関係が失われた③新しい社会ルールについていけない④リタイア後の対話能力の衰え−−をあげていた。今では④の比重が増えたと著者は見る。

 対話能力では、上下関係に基づく「上下の話法」ではなく、個人として接する「対等の話法」を磨く必要がある。組織エリートだった人ほど不得手で、キレやすくなりがちだからだそうだ。

 同時に「何かのために何かをする」のではなく、「何かをすること自体」に価値を見出す必要がある。つまり、一日一日を楽しく過ごすこと。一番大事なのは「暮らし」で、それを楽しく感じるには「あり合わせの材料で日常食をさっと作ることができる腕」が必須だそうだ。

 いろいろあるので、自分に合いそうな提案に取り組んでみてはいかが。