読んでみた

認知症介護と仕事の両立ハンドブック

著者・角田とよ子、医事鑑定須貝佑一/1500円+税/経団連出版

 長年介護家族や企業で働く人の相談を受けてきた著者が、「親が認知症になっても安心して働き続けられる社会づくり」に役立ちたいと執筆した。「介護をプロジェクトに」と唱え、「『仕事は続ける』と決意すること」を提言している。

 「仕事を続ける理由」を明らかにするといい、という。経済的不安が増すこと、自分のキャリアが見通せず、孤立感で心身の負担が大きくなることを介護離職のデメリットに挙げる。これまでも「勤めていた時はいつも時間に追われていたが、精神的には楽だった」という声や、親に認めてもらえず、成果を得られない徒労を感じるという訴えを聞いてきたという。

 介護と仕事の両立に向け、上司や人事部門へ相談すること、ライフワークバランスを重視し、介護は6割で「まぁいいか」と考えるようにすることも提唱する。

 認知症に関する知識や「介護サービスの上手な使い方」などのノウハウも丁寧に解説されている。