読んでみた

認知症心理学の専門家が教える 認知症の人にラクに伝わる言いかえフレーズ

佐藤眞一著/ディスカヴァー・トゥエンティワン/税込み1650円

 何度も同じことを聞かれ、食後すぐに「ご飯はまだか」と言われ、「お金を盗(と)ったろ!」と難詰される……。認知症の人と接していると、イライラしてつい声を荒らげてしまうことは少なくない。

 しかし感情を抑え、認知症の人に伝わりやすい言葉をかけることができれば、本人も家族も穏やかに暮らせるようになるかもしれない。重要なのは「接し方」「言い方」であり、場面ごとに認知症の人に伝わりやすい言葉かけを○×形式で紹介している。

 同じことを何度も質問された場合、「さっきも聞いたでしょ。覚えてないの?」は×。記憶に自信がなく、不安だからこそ身近な家族に何度も問うのが認知症の人。要点は安心してもらうことであり、○は「カレンダーにメモしておくね」だ。

 物盗られ妄想の人への言葉で×なのは「盗られてないよ。私が盗るわけないでしょう!」。泥棒扱いは頼りにされていることの裏返しでもある。「たいへんね、一緒に探そうか」と伝え、本人が見つけるようにするのが○となる。

 認知症の人の心を理解するため、認知症について図を交えて易しく紹介。よくある介護家族の悩みにQ&A形式でも答えている。