読んでみた

老害脳 最新の脳科学でわかった「老害」になる人 ならない人

加藤俊徳著/スカヴァー携書/税込み1485円

 他人の意見を聞き入れない、価値観を押しつける、延々昔の武勇伝を語る……。こうした「老害」は個人への害のみならず、組織を停滞させることで社会全体の発展も妨げかねないと訴える。

 老害は元々の性格によるのではなく脳機能の変化が原因なので、誰にでも起こりうるという。他人の発言にイライラする、新しいことを始めるのがおっくう、などの兆候は「老害脳」化の始まりかもしれないと指摘している。

 人は長く属した組織の文化に慣れ親しむ。上の命令が絶対、休まず働くのが美徳という企業では、当初その文化を嫌っていた人も適応し始め、かつての上司を超える存在に化ける。同様に周囲に老害が多い環境で育つと、自身も老害化するリスクがあるという。

 老害の典型は「出る杭(くい)を打つ」人。自己肯定感の低さの裏返しといい、有能な若い人に過去の栄光を自慢することで自己を肯定する「自衛行為」なのだそうだ。

 脳の中年期は45〜75歳と、一般的な中高年の年齢イメージとは異なるらしい。40、50歳代が対策を始める重要な契機で、脳の中年期に脳トレを持続的に行い、刺激を与え続けることが「老害脳」化を防ぐという。