読んでみた

軽度認知障害(MCI)がわかる本 認知症をグレーゾーンでくい止める

朝田隆著/講談社/税込み1650円

 厚生労働省研究班の最新の推計では、認知症の人よりはその一歩手前、軽度認知障害(MCI)の人が増えている。MCIの場合は適切な対策をすれば回復したり、現状を維持したりする可能性は十分にある。認知症予防の第一人者の専門医がその方法を説く。

 最初のサインは「面倒くさい」。認知症は「意欲の低下」から始まるという。認知機能の低下がある程度進行した後では治療の選択肢が狭まるため、不安を感じたら早めの受診を勧めている。

 高血圧や糖尿病などの生活習慣病は脳血管障害を介して脳にダメージを与える。生活習慣を改めバランスの取れた食事をとることが大切で、野菜、オリーブオイルを使った地中海食をお手本にするといいという。パンだけ、おにぎりだけといった偏りは厳禁だ。

 速歩などの有酸素運動をしながら会話をするといった、複数の課題を同時並行でこなす「デュアルタスク」は有効という。また、特定の対象を熱心に応援する「推し活」など、大好きなことの追求も勧めている。診断に悲観せず、「わくわく感」を高めることがポイントだと指摘している。