丹野智文著/中央法規/税込み1650円
2013年、39歳の時に若年性認知症と診断された著者が、800人を超す当事者の方とピアサポートの場などで出会う中で、当事者や家族、専門職の人たちに伝えたいと感じたことをまとめた。
当事者には「今の自分ができること」を信じ今までの生活をなるべく続けるなど、七つの「諦めないでほしい」ことを挙げ、スマホのアプリや自分専用のカレンダーなどを使うことで認知症の不安を補う工夫を紹介している。
家族や支援者に伝えたいこととしては、先回りをせず当事者の力を信じることなど六つを求めている。当事者を「何もできない人」として、家事など本人ができていたことまで家族が代行する例はよくある。そうではなく、本人がやりたいことを続けられるような手助け、「自立を奪わないサポート」を求め、また自分が認知症になった時に望む支援かどうかを考えてほしいという。更に専門職には、家族の方ばかりを向き当事者を置いてきぼりにしないことなどを訴えている。