江頭達政、樋口拓也監修/エヌ・ティー・エス/税込み5万3900円
日本では今や、65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症になると言われている。認知症に対してAI(人工知能)やデジタル技術がどのように役立てられているかについて、最新の研究や実際の事例を交えて紹介している。
予防・診断の分野では、例えば音声を聞くだけでAIが認知症の兆候を検知する機器や、歩き方のデータから認知症の疑いを判定するシステム、更にはドラムの演奏で症状の重さを調べる方法など、最先端の技術を紹介している。リストバンド型の機器で日々の体のデータを集め、高額な機材を使わずともアルツハイマー病原因物質の脳内への蓄積状況を予測したり、妄想や暴言など行動・心理症状(BPSD)発症時の脈拍の変化といったデータの解析を基にBPSDの発症を予測し、ゆとりあるケアにつなげたりする取り組みも登場する。
介護の分野では、AIを搭載したロボットが認知症の方の不安やストレスを和らげた事例、VR(仮想現実)を使った介護スタッフ向けの教育プログラムなども取り上げられている。
全編に「テクノロジーの力で、本人も家族も安心して暮らせる社会をつくろう」とのメッセージが込められている。高額な専門書だが、認知症ケアの未来像をのぞくことができる。