介護が裁かれるとき

横田 一著、1600円+税(岩波書店)

 今、全国で150万人の高齢者が介護施設で介護・介助を受けている。これに伴って、転倒、転落、溺死、誤嚥(ごえん)など施設での事故が増えてきた。事故によっては、死につながるケースも多い。劣悪な人員体制、過重労働に加えケアする側の未熟な介護技術、ささいな不注意が重大事故を招きかねない。筆者の母親も、ショートステイ先の特養ホームで転び、約5ヶ月後「急性呼吸不全」で亡くなった。母親の死に疑問を持った筆者は、施設について調べ、介護裁判の当事者席に座った。そして全国各地の介護事故の被害者、施設で働く人を訪ね歩いた。その結果、見えてきたのは、矛盾だらけのケアシステムだった。本書は、よりよい高齢化社会のために何ができるかを問う渾身のルポルタージュである。

2007年 財団報「新時代 New Way of Life」より