妹になってしまった私の母さん

高玉多美子 著・鴨崎節子 日記、1400円+税(駒草出版)

 70歳近くまで看護師として働いていた母が、アルツハイマーと診断された。ひどい物忘れ、物盗られ妄想、ポスターや鏡との会話…。しっかり者だった母がどんどんぼけてゆく。理解しがたい認知症の症状に戸惑いながら、三女である筆者は、母にペンと紙を渡した。母が元気だったころ、筆まめだったのを思い出し、「日記を書いてみよう」と提案したのだ。「私の病気は良くはならない」「いま言ったことが10分もたっていないのに忘れている」。日記の文字は幼い子どものように崩れてはいたが、文面には母の胸のうちが切々と綴られていた。認知症になっても一人の人間として心も感情も生き続けていることを日記から知った。この本は認知症への理解と、家族介護のあり方を考えるうえで、大きなヒントとなる一冊である。

2007年 財団報「新時代 New Way of Life」より