連れ合いが呆けてゆく 老後の誤算

田中 章介著、550円+税(新風社)

 妻が認知症になった。物忘れ、思い込み、不精、猜疑心…そして徘徊などの周辺症状。医師の診断では脳血管性の認知障害だった。大企業の経理マンとして多忙を極め、海外赴任も重ねた典型的な会社人間だった。在職中には専門知識を生かし、税理士や中小企業診断士の資格も取った。定年後は、苦楽をともにした妻と2人、のんびり旅行でも楽しみながら共白髪の余生をと思っていた矢先の発症だった。まさに老後の誤算である。介護の日々が始まった。もう少し妻の異常に早く気づいていれば。後悔、慣れぬ老々介護、戸惑い。そして自責の念にかられた特別養護老人ホームへの妻の入所。ホームヘルパー派遣をめぐって医療と介護の壁にもぶつかった。超高齢社会。認知症は誰にでも起こりうる。

2007年 財団報「新時代 New Way of Life」より