母の介護

坪内ミキ子著(絵も)、680円+税(新潮社)

 宝塚1期生のスターだった母。プライドが高く、倒れるまで毎週美容室に通い、かくしゃくとしていた母。その母が転倒し、寝たきりになった途端、「わがままな老婆」に成り果てた。何をしても文句ばかりをいう。夜中に隣に寝ている著者を起こしては用を言いつける。あまりにもの変わりようにすべての歯車は狂っていった。自分だけは介護と無縁だと思っていた。減り続けるお金。女優の仕事と家事のやりくりのすべては一人娘の著者の肩に重くのしかかってきた。96歳でのけがから入院、転院、在宅介護…、そして102歳で看取るまで先の見えないトンネルの中で過ごした6年間。介護に明け暮れた日々がありのままに描かれている。老いて体が不自由になり、人の手を借りる。そして死と向き合う毎日。そこには葛藤があり、心の叫びがある。母への尽きない愛と老いることの難しさが伝わってくる。

2008年 財団報「新時代 New Way of Life」より