介護ー現場からの検証

結城 康博著、 740円+税(岩波書店)

 2000年から始まった介護保険制度。今や、まがりなりにも定着し、高齢者にとって必要不可欠な制度になった。しかし、06年からスタートした改正介護保険法は利用者や介護従事者の間にさまざま戸惑いを与えている。「介護予防とは何か」「サービスを十分受けられない」「地域格差が拡大している」などの問題が顕在化しつつある。著者はケアマネージャーの経験をもとに、介護保険の利用者、その家族、介護従事者、行政担当者、政治家などにインタビューしながら「介護現場で今、何が起きているか」を明らかにした。「老老介護」はもとより、認知症の人を認知症の家族が介護する「認認介護」、さらに「独り暮らし高齢者の増加」などの社会的背景を考えると、介護は社会全体で支える必要性がますます求められてくる。しかし、現実は介護保険制度発足当初の理念であったはずの「介護の社会化」は歪みつつあるようだ。本書は、介護をめぐる問題の処方せんでもある。 

2008年 財団報「新時代 New Way of Life」より