私のぼける作法ー老年の受け入れ方

下山 敦士著、2000円+税(丸善)

 老いは、だれにも等しくやってくる。歳をとると、体力も落ち、忘れっぽくなる。できれば歳はとりたくないものだが、そうもいかない。一方、心身の機能は衰えても、若いときより優れた面も出てくる。見慣れた自然の風景や動植物を慈しむ心、感謝の言葉も出やすくなる。生きる喜びにあふれ、周囲を幸せな気分にもしてくれる。物忘れを嘆く前に、「忘れることは幸せなこと」と思えば、苦悩から解放されることだってあるだろう。それには、「あきらめ、割り切ることが大切」と著者は、言う。老いたら、ぼんやり立ち止まり、自然とともに生きる。完全さを求めず、ほどほどの人生を歩むのもよい。著者は、岡山市でクリニックに勤務する67歳の精神科医。前著「私はぼけて幸せ」に続く、老年の受け入れ方シリーズ第二弾。老いても「心に青春があれば、春は再びめぐる」の著者の声が聞こえてくる。本書は、老い生きる人たちの心のバイブルといえるのではないか。

財団報「新時代 New Way of Life」54号より