山口 道宏 編著/1700円+税/現代書館
日本の行政は利用者が申請して初めてサービスを提供するという申請主義がとられている。しかし年金や生活保護、介護保険などの現場では、最も福祉サービスを必要としている人が申請しにくい、場合によっては行政が要件をあげて申請させないケースもあるようだ。
本書はジャーナリストや大学教員、福祉現場で働く人で構成する執筆陣が福祉行政関係者や研究者に取材し申請主義の功罪について考察したもの。 現場のレポートから浮かび上がってくるのは、申請主義の弊害が高齢者にとどまらず世代を越えた問題になっていること。
取材で得たヘルパーさんの「申請に至らないケースが一番気になります」というつぶやきに問題の根深さが示されているようである。
財団報「新時代 New Way of Life」61号より