読んでみた

おひとりさま介護

村田くみ著/1500円+税/河出書房新社

 30代後半のシングルの女性記者だった著者に突然降りかかった母親の介護。「まさか」と驚く間もなく走り回り苦悩した切実な体験と、誰もが戸惑う介護施設の選び方や仕事との両立方法などの情報を介護者の目線でまとめた。

 認知症を含む介護情報の本は数多く出版されているが、介護者に関しての情報は少ない。筆者の強みは自分の体験や、得意の取材力で集めた情報を読みやすい形で提供できたこと。

 介護をして良かったことを日記方式で書く「ハッピーノート」を実践しているが、いまだに良かったと書けない自分は「介護は負担という思いが抜けないから」と心の内を正直につづって、好感が持てる。

 “おひとりさま介護”まっただなかの人、その予備軍の人に読んでほしい一冊だ。

財団報「新時代 New Way of Life」63号より