読んでみた

認知症の人の見守り・SOSネットワーク実例集 安心・安全に暮らせるまちを目指して

永田久美子・桑野康一・諏訪免典子編/2400円+税/中央法規

 2万人と1000人。前者は1年間に家に帰れないまま行方不明になる認知症の人、そのうち死亡、または行方不明のままの人の数が後者である。本書は認知症になっても、安心して外出できる地域づくりを目指し、警察や消防、地域包括支援センターなどの行政から、コンビニや、新聞販売店、地元FM局、さらには、様々な民間のグループまで結びついたネットワークの先進事例を調査しまとめている。

 その際に「徘徊」という言葉は極力避けている。認知症の人についての画一的な見方や外出には理由があるのに誤った対応を広めてしまうことを懸念するからである。書名に「見守り」の言葉を入れたのも未然に防ぐことは可能との思いが込められている。行政、専門職、一般の人にまで参考になる1冊。

2011年 財団報「新時代 New Way of Life」より