読んでみた

総合医の時代

高久史麿監修、水野肇・田中一哉編/2000円+税/社会保険出版社

 大学病院に行けば何時間も待たされて診療はわずか数分という事例をよく見かける。地域の総合医より大病院の専門医の方が偉いという風潮が医療従事者はもちろん患者の側にもあるからだろう。

 本書はその誤りを正し、求められる総合医のあるべき姿を分かりやすく示す。

 患者の訴えを聞いて医師が議論しながら病気を推論する。無駄な検査をせずに診断を下し、必要とあらば専門医に紹介する。幅広い診療分野に対応できる能力を持った総合医を育てることが、限りある医療資源を有効に活用でき、膨れ上がる国の厚生予算を抑えることにつながると説く。

 総合医との対談や海外事例の紹介も参考になる。

 聖路加国際病院理事長の日野原重明先生も推薦。

2012年 財団報「新時代 New Way of Life」より