読んでみた

上野千鶴子が聞く 小笠原先生、ひとりで家で死ねますか?

上野千鶴子、小笠原文雄著/1400円+税/朝日新聞出版

 刺激的なタイトルだが、著者の一人である上野千鶴子自身が切望していた「在宅ひとり死」を現場で支える実践者の小笠原医師に徹底的に学んだことで、夢のまた夢と思われていた在宅で死ねる選択肢を「これならいける」と確信したという。

 本書は「在宅ひとり死」を実現するための知恵と工夫を上野の67の質問に小笠原医師が答える形で具体的に紹介する。質問は「認知症の場合は?」「家族との関係は?」「誰が看取(みと)るの?」「お金はいくらあればいいのか?」。がんの在宅看取り率95%を実践する医師はノウハウや経験を惜しみなく提供する。

 日本人の老後の幸せは、子や孫に囲まれて亡くなるのが理想とされていたが、おひとりさまでも在宅で死ぬことができることを示す本書に希望を託す人は多いだろう。