読んでみた

認知症の人の食事支援BOOK 食べる力を発揮できる環境づくり

山田律子著/2000円+税/中央法規

 人間の営みで一番の楽しみと言えば、食べることと言って差し支えないだろう。それはたとえ認知症であっても事情は変わらないはずだ。本書は最期までおいしく豊かな食事をとることができるよう支援する知識と技術が詰まった一冊だ。といってもただマニュアルを詰め込んだだけではない。本人を観察しどんな支援がふさわしいかを判断するための心構えや環境整備の工夫等を学習編、実践編に分けて紹介していく。

 中でも特徴的な食事場面でのQ&A方式の事例紹介は具体的で参考になる。食事を前にして食べようとしないのは、食べる対象と認知できなかったり、品数が多く混乱しているか、今食べていいのか分からず待っているケースもあるという。その場合は、食器のコントラストや盛り付けの工夫、香り立つ食材の使用等、五感を活用することを勧める。