読んでみた

もの忘れカフェの作り方〜認知症、工夫次第でなんとかなる

/奥村典子・藤本直規著/2000円+税/徳間書店

 本書は全国各地に広がる、認知症の人と家族、地域住民、専門職の誰もが参加できる憩いの場「認知症カフェ」をいち早く始めた滋賀県守山市の藤本クリニックにおける「もの忘れカフェ」の作り方を紹介する解説書だ。その成り立ちから取り組み、スタッフの哀感まで具体的につづられている。

 認知症研究に長年携わってきた長谷川和夫さんが実際に「もの忘れカフェ」を見てきて次のように推薦の言葉を寄せている。「ここでは一切のプログラムはなく、朝、皆が集まった時に何をするか、参加者が話し合って始めます」。自主性を尊重して本人の気持ちを聞き、待つ。認知症ケアに欠かせないこれらの要点を維持、向上させていると高く評価する。そんな中で生まれた実践例を一つ。この本のサブタイトルは本人たちがアイデアを出して付けたという。