「証言」〜3・11宅老所の真実〜

みやぎ宅老連絡会、甘利てる代著/1800円+税/パド・ウィメンズ・オフィス

 2011年の3月11日に起きた東日本大震災の記録を残そうとする人たちは多い。しかし風化は早く、復興への道のりは遠いというのが実情だろう。そんな中、震災直後から取材を続けていたライターと宅老所の人たち、それを後押しする出版社の出会いがこの本に結実した。被災者と取材者が震災をどうとらえたか。複眼の視線は震災の実情をより多面的に照射している。

 宮城県岩沼市の海から250mの所にある特養老人ホームは144人の利用者、職員の全員が40分で避難した。偶然もあるがとっさに避難先を変更するだけの情報や経験を持っていたからだろう。逆に課題を残したところもある。30近い実例の報告は、次の世代につなげたいという思いと思いやりの心に満ちている。