読んでみた

人間らしくヘンテコでいい

鎌田實著/1500円+税/集英社(03・3230・6393)

 人間とは何か。どこから来て、どこへ行こうとしているのか。人間が幸せに生きるのに本当に必要なものは何か。著者が6年の歳月を費やし、人類発祥の地アフリカをはじめ各地を訪ねて見つけた答えは、まさに書名の通りだった。作家、開高健の有名なCMからヒントを得た著者は、好奇心に任せてふらふらしている人間こそがホモ・ルーデンス(遊ぶ人)と喝破し、そんな人間を温かく見つめる。「人間」という言葉を「認知症の人」に置き換えれば、世話をする人、される人という一方通行の図式から離れ、世話は受けているが相手からケアする心を引き出し“学び”の場を与えているという双方向の関係が見えてくるとは言えないだろうか。38億年の命のつながりの中で誰もが生かされている。