私はどうも死ぬ気がしない 荒々しく、平凡に生きる極意

金子兜太著/1000円+税/幻冬舎(03・5411・6222)

 「私はどうも死ぬ気がしない。九十五歳を迎えましたが、最近では、私は死なないのではないか、とすら思います」。こういう書き出しで始まる本書は、俳人である著者の全人生を貫いてきた生きる極意が詰まっている。

 毎朝起きると簡単な体操の後、黙って立つ「立禅」を行う。雑念を追い払うため死んだ人の名前を暗記し、決めた順番にとなえる。高齢のため多くの縁者はあの世に行っているので読み上げる名前も無数。「忘れたらボケるぞ」と言い聞かせながらの行為によって霊力が湧いてくるという。

 「幸不幸は無くても、運不運はあります。そういうものだと思って受け止める。嘆く必要はありません」と日本銀行時代の不遇と、それを俳句で乗り越えてきた体験からの金言もある。自分に嘘(うそ)をつかない、好きなことだけやる……。真剣勝負の言葉が続く。