読んでみた

生き方、逝き方ガイドブック

新田國夫監修、朝日新聞厚生文化事業団編/1700円+税/クリエイツかもがわ(075・661・5741)

 在宅医療をすすめる監修者は、その前提として三つの原則をあげる。「自己決定」「生活の継続」「残存能力の活用」。いずれも本人の意思に寄り添い、できることを尊重する考え方だ。

 その上で本書は最期の暮らしと看取(みと)りを考える上で参考になる具体例を一つずつ説き起こしていく。「介護をする自信がありません。家族がやらなければいけませんか?」「病院のような機器を置くスペースがないと自宅療養は無理ですか?」「在宅療養はどのくらいお金がかかりますか?」。初歩的な質問からシビアな問題まで丁寧な回答は役に立つだろう。

 独居の高齢者に「不安はないですか」と尋ねると、「ありません。近所の誰かが声をかけてくれるから」と返ってきた答えは互助の仕組みを言い当てており印象深い。