読んでみた

私の脳で起こったこと レビー小体型認知症からの復活

樋口直美著/1400円+税/ブックマン社(03・3237・7777)

 一人の女性が、うつ病と誤診され、病名が分からないまま誤った治療を続けた後、認知症の一つであるレビー小体型認知症と診断されてからほとんどの症状が消えた9年間の記録を赤裸々につづった感動の物語。

 本書の素晴らしさは抗うつ剤の投与による体調不全と闘いながら、病名を疑い6年後に正しい診断にたどり着き、「知性も人格も失う」「自分が自分でなくなる」「進行性で回復はない」という世間の認知症への「常識」を告発しているところであろう。

 著者が認知症に関連する本や映画、テレビ番組を通じて得た知識は膨大。逆にインタビューを受けて本になったものや番組も多く、ネットでも発信している。巻末にまとめられた「私の症状を改善したもの」「介護する方に伝えたいこと」などのリストが参考になる。