介護民俗学へようこそ!「すまいるほーむ」の物語

六車由実著/1500円+税/新潮社(03・3266・5111)

 民俗学の手法である「聞き書き」を介護の現場で試みてみたら……。介護する側にとっては援助の対象にしか見えなかった利用者が、聞き書きをすることによって尊敬すべき人生の大先輩に思えてくるという体験をまとめたのが前著「驚きの介護民俗学」だ。

 著者は働く場を小規模デイサービスに移し、この聞き書きを職場のスタッフ全員に広げていき、介護者と利用者が同じ地平に立ってともに暮らしていく姿を新たに紡いだ。著者は言う。「調査者(聞き手)と、記憶をたどって実際の経験について語ってくれる高齢者(語り手)との関係は、語り手の高齢者の方が圧倒的に優位に立つことになる」。つまり聞き手は「教えを受ける」立場になるという。この逆転現象が介護という営みを豊かなものにするのではないかと説く。筆者の挑戦は続く。