介護漂流 認知症事故と支えきれない家族

山口道宏編著/1600円+税/現代書館(03・3221・1321)

 2007年に愛知県で認知症の男性高齢者が1人で外出して列車にはねられ死亡した事故は、老老介護など在宅介護の厳しい現実と、「施設・病院から在宅へ」と国の政策が変わり矛盾が広がる中で起きた。

 本書は事故発生前から今年3月の最高裁判決までの経緯を振り返り、地域での受け皿が整わないまま、在宅介護の比重が肥大化している現状と原因をつぶさに紹介していく。

 男性の妻や長男の監督責任を認めた1審や、同居の妻の監督義務を再び認めた2審の判断が介護現場の実情といかに乖離(かいり)しているかを指摘するだけでなく、介護離職やその結果としての無年金者の増大など高齢者福祉施策の問題点をも浮き彫りにする。そして尊厳ある生活を保障するために自己決定できる環境作りの重要性を説く。