コラム「母を撮る」

「毎アル ザ・ファイナル」のテーマ

関口祐加 映画監督

孫たちと楽しいひと時
=(C)NY GALS FILMS 2016

 2016年は、私にとってとても充実した1年になりました。ファイナルのために6月には、シドニー、10月には、松山市やヨーロッパで撮影をすることが出来ました。2年前に両股関節全置換の手術を受け、今も訪問リハビリを受けている身としては大きな挑戦でしたが、これで自信がつきましたね。日常生活では、4000歩も歩けば疲れた〜と感じるのに撮影の時は、1万歩を軽く超えても張り切って歩ける自分にもびっくりしました。

 さて、ファイナルのテーマですが、14年の「毎アル2」公開時に考えていたこととは異なります。これがドキュメンタリー映画の醍醐味(だいごみ)ですよね。今回のテーマは、ズバリ「看取(みと)り」です。さらに「ハッピーエンディングな死はあるのか」ということも探ります。介護や終活の先のストーリー。これには、理由があります。

 まず母は、14年から15年にかけて4回意識不明で倒れ、救急搬送されました。いずれも脳の虚血症発作という診断を受け、点滴後に帰宅を許されました。母は、もちろん救急搬送のことは覚えておらず、自分は「死ぬのを忘れている」と笑います。ただ、発作ごと
に認知症は、進行したように見受けられます。

 そして、ファイナルには、母以外にも2人の女性が登場します。2人とも発がんし、1人はすでに亡くなり、1人は5時間の手術を経て闘病中です。母を入れた3人は「死を忘れた人」「死んでいった人」「死と向き合う人」ということでしょうか。生まれて初めて自分の死について考えました。また、自分は、どうやって死んでいきたいのかと真剣に思い、スイスまで答えを探しに行ったのです。

 スイスに行くということは、自分でも想定外でしたので本当に驚いています。しかし、ドキュメンタリー映画は、監督自身が驚いているぐらいでないと! 新しい扉が開いた時に、自分の考えに固執せず扉の向こうに行ってみる。さあ、その扉の向こうには、何が待っていたのでしょうか? どうぞファイナルをお楽しみにお待ちください。

◇クラウドファンディングのご案内
 『毎アル ザ・ファイナル』完成・公開に向けた資金調達プロジェクトをMotionGalleryで実施中です。皆様からのご支援をお願い申し上げます。
・実施期間 2/1〜5/31
・ご協力いただいた方への主な特典
 映画の全国共通劇場鑑賞券
 映画のエンドロールにお名前記載
・お問い合わせ先 「毎アル」友の会 090・6187・7110 /
 ・「毎アル」シリーズ公式サイト www.maiaru.com

2017年3月