コラム「母を撮る」

新しい年のはじまり

 新年明けましておめでとうございます。

 いよいよ2018年は、「毎日がアルツハイマー ザ・ファイナル」公開の年です。皆さんのご支援のおかげで、この「毎アル」ファイナルは、完成できたと言っても過言ではありません。ここに深く感謝いたします。「毎アル」シリーズは、このファイナルで3作目になります。

「毎日がアルツハイマー ザ・ファイナル」完成!
=(C)NY GALS FILMS 2017

 認知症予防財団会長に就任された新井平伊順天堂大学大学院教授は<「毎アル」シリーズは、私のライフワーク>と叱咤激励してくださっています。しかし、映画製作は、常に困難に次ぐ困難です。特に製作資金を作ることは、容易なことではありません。そんな環境の中で新作のファイナルは、まさに何があっても作りたい、どんな困難も克服して作りたい映画になりました。

 実は「毎アル2」で認知症ケアにおいて唯一無二だと考えるようになったパーソン・センタード・ケア(PCC)にたどり着いた時、ぼんやりと次作は、さらにこのPCCを深く考えていくことになるのだろうと思いながら母を撮り続けていました。同時に思いがけず母よりも歩行困難になった私は、ついに両股関節全置換の手術を受ける決心をし、すぐに自分の手術の様子を撮りたいと思ったのです。思い返せば、この決断がファイナルの映画の方向性を決めたのだと思います。

 ドキュメンタリー映画は、作っている本人が考えてもいなかった方向に向かう時にこそ新しい扉が大きく開く。そのことを映画監督として何回も経験して来ましたが、今作のファイナルは特にそうだったと思います。また、今回の編集は、オーストラリア人のデニース・ハスレムさんにお願いしました。映画編集のキャリア40年になる大ベテランで、彼女に編集をしてもらうことは私の長年の夢でした。インターネットの時代になり、映像もデータでやりとりが出来るようになったことが、オーストラリアと日本という別々の国で編集することを可能にしてくれました。私にとっては、この編集の仕方も新しい扉を開けることになりました。

 「毎日がアルツハイマー ザ・ファイナル」の完成尺は、71分。「毎アル」シリーズ前2作と一緒に<3部作>として、ニューヨークでの配給も決まりました。この3作品が日本国内だけではなく、世界中で見て欲しいという私の大きな夢の第1歩ですね。今年は、「毎アル」ファイナルと共に全国津々浦々、皆さんにお会い出来ますように。

 2018年が、皆さんにとって素晴らしい年になりますよう、心よりお祈り申し上げます。

2018年1月