コラム「母を撮る」

母の絶不調

絶不調な様子の母
(C)NY GALS FILM

 俗に春は、三寒四温で温度差が激しい季節です。そんな気候もあるのでしょうか。母は2月10日にトイレから出て来て、意識消失を起こして以来(もう7回目!)体調を崩してしまいました。

 介護をしている本人の調子が悪い時は、介護をしている側は、色々とあたふたしますよね。倒れた後は、特にそうです。意識不明だった時間は、数十秒と短かったとは言え、どう素早く対応すべきか。

 私は、電解補水液を常備していて、母のマグカップで本人が飲めるだけ飲んでもらいます。大抵3〜4杯でしょうか。母の飲み方を見ていると、ああ、水分不足になっている!とすぐに気づきます。

 今回母には、トイレに行ってもらうことを初めてやめてもらいました。トイレに自力で行くことは、その人の尊厳に関わる問題であるという認識が強くあると思いますが、私は、必ずしもそうは思いません。時と場合によると考えます。冬場や春先のように気温のアップダウンが激しい時には、むしろトイレと浴室は、危険な場所です。毎年、桜の季節が訪れると4月にトイレで突然死した父を思い出し、そんな気持ちを強くします。

 実は、今回は、とてもヒヤヒヤしました。3月26日から1週間の予定でイギリスのノーリッジに行き「毎アル・スピンオフ」のために撮影をする計画を立てていたからです。ちょうど母が倒れる直前に、カメラマンと私の飛行機のチケットを購入したばかりでした。

 母は母で、3月25日より9泊10日でショート・ステイに行く予定でした。初めてこの計画は無謀かも、と焦りましたよ! 一旦私は、イギリスに行くことは忘れることにし、目の前の母としっかりと向き合おうと気持ちを切り替えました。母には、睡眠をしっかりとってもらいつつ、数時間おきに水分補給とおしめの取り替えを繰り返しました。

 母は、本調子ではないこともあって、いつものようにトイレ行きを自ら気にすることはありませんでした。そのせいか、母の直腸脱は、ずっと収まるべきところに収まっているという嬉しい誤算です(笑)。そうこうしているうちに、母の体調がゆっくりですが、回復し、食欲も少し出てきました。ホッとしましたが、まだまだ気を緩めることは出来ません。

 母の様子を見ながら、母の荷造りを優先し、以下のお願いを書きました。
①母が目覚めた時(昼寝や朝)には、まず電解補水液で水分補給をお願いします。
②最近は、失禁も多いので、紙パンツとパッドのチェックをよろしくお願いします。
③食後、入浴後は脳の虚血症が起きやすいので、水分補給と同時に横になって寝られる態勢をよろしくお願いします。
④入浴は、入浴後のケアが大変ですので、そんなに頻繁ではなくて大丈夫です。本人が納得すれば1〜2回ほど。足浴だけでも大丈夫です。

 ハラハラしつつも、予定通り3月25日に母を送り出した時には、心底ホッとしました。それから翌日イギリスに発つ自分の支度を大慌てでしました。

 次回は、イギリスの撮影や母の帰宅後の様子を書きますね。

2019年5月