コラム「母から学んだ認知症ケア」

2024年という年

 昨年2024年は、いいことと悪いことが混在した年だったと思っています。まず5月にも書きましたが、「毎アル・スピンオフ」の映画製作費が決まったことは、画期的なことでした。

 「毎アル総集編」の完成が22年ですから、すでに丸2年経(た)っています。「毎アル ザ・ファイナル」からだとすでに丸6年も経過したことになります。
 そう、テレビの企画と違い、映画製作には、時間がかかります。そして、この時間の経過こそが、ドキュメンタリー映画の醍醐味(だいごみ)であり、ストーリー展開の中心になるのです。

 新作の「毎アル・スピンオフ」は、母の死から始まるでしょう。その後の地獄のようなコロナ禍を経て、どんなストーリー展開になるのでしょうか。

 まずは、亡くなった私の友人、マーガレットさんご夫妻の故郷である英国マンチェスターのセールへ撮影に行こうと思っています。ゴタゴタしている映画製作資金ファンドの関係もあり、今年の5月ぐらいになりそうです。私の誕生日月ですので、マーガレットさんご夫妻の友人であるスティーブさんご夫妻には、お祝いをしようと言われています。

 24年は、能登半島の大地震から始まり、レプリコン・ワクチン接種の問題、岸田政権から石破政権へ。映画的に言えば、映画の時間軸を支えるストーリー展開ですね。

 その時間軸を私の時間軸に落とし込む……私のドキュメンタリー映画は、大上段に構えるのではなく、いつもパーソナルな視点から大義が見える映画でありたいと思って作ってきました。被写体であり、見事な主演女優だった母の言動には、裏表がなく、グングン惹(ひ)きつけられていきます。彼女を通して、認知症ケアのあり方を私自身が、学んできたのです。

 ここに家族を撮る理由があると言っても過言ではありません。母は、私のことを映画監督とは、時に認識しても、それが何だという姿勢で、カメラを向ける私に立ち向かってきました。それが、堪(たま)らなく映画には、よかったのです。

 さて、新作の「毎アル・スピンオフ」は、どうやら新しい芽を吹き始めたようです。私自身、思ってもいなかった展開です。何よりも映画を作っている私が、驚く。ちょうど「毎アル・ファイナル」で、マーガレットさんに膀胱(ぼうこう)がんを告白され心底、驚いたように。

 その驚きは、多分今までの作品の中で、一番の驚きになるかと思います。私が、夢にも思っていなかった方向性ですから! 初めて米国に撮影が、向いています。

 ぜひぜひ、楽しみにお待ちくださいね!

 昨年中はありがとうございました。読者の皆さまにおかれましては、どうか素晴らしい2025年となりますように。

2024年12月