家族の会だより

「家族」「本人」尊重しながら連携

花俣ふみ代・認知症の人と家族の会副代表(埼玉県支部代表)

 梅雨最中の6月、日本認知症本人ワーキンググループ(JDWG)公開イベント「希望のリレー」が開催されました。この日、私は巡り巡ってもう一人の当事者である「家族」の立場から登壇・発信する機会をいただきました。時間の経過とともに笑顔いっぱいのご本人とご家族、そしていつもながら台本?のない丹野智文氏(認知症の本人)の軽妙な司会進行で会場はすっかり和やかな雰囲気に包まれました。

 プログラム「本人とともに」では「家族が本人を庇い過ぎ、持てる力を奪ってしまいがちなのでは?」との丹野氏の問いかけに、私は「家族の会の活動の主軸である元介護家族や現役の介護者は、病が重くなってからも最期の時まで寄り添っているからこそ、より本人を守ろうとする傾向にあることを理解してほしい」と答えました。家族も診断直後には混乱して不安の中にあり、運命共同体として本人だけでなく家族も支援の対象であると思っているためです。

 それを受けてJDWGの藤田和子代表は「私たちが人前できちんと当事者の思いを発信できるのは、そこに家族や仲間・支援者の後押しがあってこそ」とコメントされました。ここでようやく私のわだかまりが解け、立場は違っていても同じ方向を向き、同じ目標に向かって進んでいる事を確信しました。終わってみれば良い時、良い機会を得ることができたと素直に嬉しく思った一日となりました。

 そして酷暑となった7月最後の日、さいたま市にある家族の会支部事務局では当事者6名による「本人ミーティング」が開かれました。JDWGから始まった「希望のリレー」のバトンを受け継ぐランナーは全国各地でこれからも確実に増えていくことでしょう。

 40年間ひたすら「認知症になっても安心して暮らせる社会」を目指して活動し続けてきた家族の会。今後もお互いの立場を尊重しつつJDWGの皆様としっかり連携を図り、これから訪れる認知症の急増する社会に立ち向かっていこうと決意を新たにしています。

2019年9月