家族の会だより

シングル介護者交流を全国に

 愛知県支部で初めて「シングル介護者交流会」を開催したのは、忘れもしない東日本大震災の5日前、2011年3月6日(日)のことです。つどい(介護者交流会)や家族支援プログラムを開催する中で、シングルの方の参加が増え、「私一人で親を看(み)ています。相談する相手もなく、不安で仕方がありません」といった声が多くなっていたことを受け、シングル介護者同士の交流の場を始めることとしました。

 私が代表になって間もなく、ですからもう24年ほど前のことになるでしょうか……。働きながら実母の介護をしている娘さんからの相談が入りました。愛知県支部の活動もその頃はそれほど多くはなく、シングル介護者もまだ希(まれ)でした。

 「親ひとり、子ひとりなんです。誰も頼れる人がありません」「仕事を辞めて母を看た方がいいでしょうか」「部屋に鍵をかけて閉じ込めて仕事に出かけているんです。心配で心配で」

 そういった相談を受けました。しかしまだ介護保険もなく、話を聞くことだけでどうすることも出来ませんでした。「なんとかできないものか」。長い間、ずっと心の奥にあったシングル介護者への思いです。やっと実現することができました。早いもので発足から10年目を迎えます。

 2カ月に1度、偶数月の第1日曜の午後1時半から午後4時に、名古屋駅前の「ウインクあいち」で交流会を開いています。まだシングル介護者の交流会は全国的にも珍しく、たまに県外からの参加もあります。メーリングリストを作成し、参加できなくてもそれぞれが様子を伝え合うこともしています。お互いにつながれる相手がいることで、随分心の支えとなっていることでしょう。

 新型コロナウイルスの影響で何度か開催中止になり、リモート交流会も始めました。偶数月が集合型、奇数月がリモートと結果的に毎月交流できるようになったのですが、ぜひこのリモートを活用して、シングル介護者交流会を全国に広げていきたいなと思っているところです。全国のみなさん、ぜひ一緒に交流しましょう!!

 お問い合わせは愛知県支部(0562・33・7048)まで。

認知症の人と家族の会理事 尾之内直美(愛知県支部代表)

2020年12月